こまち

永い言い訳のこまちのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.1
完成披露試写会。

西川監督いわく、「取り返しのつかない別れを経験した人が、その後の長く退屈な日々をどう生きていくのか、を描きたかった」とのこと。

家族との唐突な別れを経験した衣笠幸夫と大宮陽一は、対照的な二人だ。カメラの前でこそ妻を悼んでみせるけれど、実生活では涙のひとつも流れない幸夫。一方陽一は妻の死を嘆き悲しみ、声をあげて泣く。
幸夫が陽一の子供たちの面倒をみることをかって出た唐突さに少し違和感を感じたけれど、マネージャー・岸本の「逃避してるんでしょ」「子供って、男にとっての免罪符ですもんね」という言葉に納得した。
大宮家の人々と過ごす時間は確かに幸夫にとって「逃避」だった。けれど、やがて幸夫は妻という存在に向き合ってこなかった自分に向き合わされる。幸夫が深夜のバーのトイレで泣きじゃくるシーンの寂しさに涙が出た。

細かい情景描写がうまいと思う。
例えばどこか近所から聞こえてくるピアノの練習曲。自分とは無関係な「家族」の存在に胸がキュッとなる。

大宮家の子供たち、めちゃくちゃかわいかった。
炊飯器のフタを開けちゃう無邪気さ。
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