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永い言い訳の346のレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
3.4
西川美和の感性と合わないんだと思った。だから何を書いていいかわかんなくて、もう、いつ観たのかもハッキリしない…。

キラキラしたシーンは子供とモックンのアドリブみたいな掛け合いだけど、あれは、俺が、どこかの家族をとってもキラキラしてとれる気がするから、評価からははずします。

なんだろ。
邦画をみるときは、いつも自分は頭の中でハリウッドリメイクするんだけど、これだとオスカーはとれない感じかな。もちろん、オスカーなんて狙ってないだろうし、こういう繊細な心の動きを描くことが監督の意図だし、そこをちゃんと理解して感動してる人もいるのは分かるんだけど、なんだか、最後まで自分にははまらなかった。

主人公が、本当に妻の死と向き合えたのか分からないというか、彼の本音が追悼番組で叫んだあの瞬間以外にないんじゃないかと思ってしまって、うーん。

主人公が、作家であることの吐き出し方が気に食わないのかもしれない。作家じゃない人間はどう形にすればいいのか。多くの人は自分の感情を形にする仕事についていないわけで、それが卑怯だとも感じたのかな。

でも、いや、この映画の質が悪いわけじゃなくて、西川美和が撮る映画が全てが、個人的に曖昧に感じてしまって、本当に好みの問題なんだと思う。

例えば、善と悪で揺れるキャラクターを映画で描くなら、憎しみから人を殺してしまった男が、一方で自殺をしようとする人に生きがいを与える存在でもあって、その相反する感情の中でそのキャラクターが煩悶するシーンがあれば好みなんだけど、

西川美和が、善と悪に揺れるキャラクターを描くなら、憎しみはあるが人を殺す勇気がない男が、自殺しようとする人を救うことすら出来なくて煩悶する姿になるんだろうな。

もちろん、西川美和そうして人間らしさを描いているのだけど、個人的にはそれは映画ではないというか、小説にまかせてほしい分野じゃないかという気がしたりしました。
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