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永い言い訳のshinoのレビュー・感想・評価

永い言い訳(2016年製作の映画)
4.2
"強い人はね、ちゃんと泣くんだよ"

ノドから手が出るほど観たかった西川美和監督の最新作をやっと…!

西川さんの作品って、ほのぼのやわらかい時間が流れたかと思いきや、エンドロールくらいで胸の中ざくざくにエグられてることに気づくところがたまらんですよね(ドM)

バスの事故で同時に妻を亡くした、対照的な二人の夫。
子どもたちと円満な家庭を築き、妻の死に素直に哀しみあらわにする陽一に対して、一筋の涙すら流せない幸夫。小説の執筆の傍らで、陽一の子育ての手助けをすることに…

なんていうか、もっくんめっちゃいいじゃん…
思えばおくりびとくらいしか観たことなかったなあ(´-`).

泣けないのは、愛が冷めていたから?死に際に不倫相手と会っていた罪の意識…?
誰にも答えなんて分からないけど、池松くん演じる担当編集者の「このままじゃずっと辛いままですよ」って言葉が重い。
ほんのちょい役なのに、重たいセリフを池松くんに言わせるところで重み倍増。存在感絶大。
一方で不倫相手の華ちゃんは、別に華ちゃんじゃなくても良かったかも。笑

誰かのためになっていると思いたくて、そこが自分の居場所だって信じていたくて。
正当化していないと立っていられないほど不安定な部分って、人間誰しもが抱えているはずで…
不意にキレイなものに触れて、癒されると同時に自分の惨めさに押しつぶされそうになる。
「子ども」ってそんな存在なのかもしれないなあ…(´-`)

今回も、ラストがずるい。
毎回全然、物語の終わりってところで終わってくれないんだもんなー。これからも幸夫くんの人生は続くのだ。
なんていうか、夫婦とか親子とかを超えた、人間そのものを描写した感じの映画です。
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