Ryohei

ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償のRyoheiのレビュー・感想・評価

4.0
先進国の流行(ファッション)の流動性に耐えられるほど、人間、動物、そして地球は頑丈ではないこと。しかし自分たちは未だにそのヨーロッパ的・帝国的な生活様式を望み、欲し、有することで自己のアイデンティティの形成に日々精進している。

聞く、見る、着る、履く、食べる、飲む等々、これらは五感の応答を有するものだけれど、それが生業になると資本的に生きていくことが困難になっていく先進国では、これらを外部化することによって低コストで賄うようにしている。しかしその外部化された市場での雇用環境は劣悪で、作品にもあったような本来起こるべきではない惨事をも引き起こしている。また、それと同時に先進国内のマーケットではそれらを生業にしたいと思っている人間がいるのにも関わらず、社会の構造上そちらには資本が流入せず、結果としては搾取された状況が続いている。服に限らず、このような出来事は飲食でも音楽でも様々な文化のシーンで起こっていると思う。文化を殺しているのは構造であり、またそれを享受している自分自身なのだと。

作品から引用
“Everyday we wake up early in the morning we go to the factory, and work really hard all day. And with all our hard labor we make the clothing. And that’s what people wear. People have no idea how difficult it is for us to make the clothing. They only buy it and wear it. I believe these clothes are produced by our BLOOD.”
Ryohei

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