ゴリアテの憂鬱

ザ・トゥルー・コスト ファストファッション 真の代償のゴリアテの憂鬱のレビュー・感想・評価

4.1
ファッションの背景に潜む闇に切り込む素晴らしいドキュメンタリー作品。

安くて手軽なファストファッションを買うという消費行動を今から止めることは不可能に近いのだと思いますが、この作品を観た人達からでも不買運動を始めることは世界が良い方向へ修正していく為の小さな一歩になるかも知れません。

自分も部屋着や靴下などはユニクロで買ったりもしてましたが、ウイグル問題が大きく取り沙汰された時、会長の端切れの悪いインタビューを見て買うのを止めました。

マルタン・マルジェラの産み出した名作のひとつにエイズTシャツがあります。
このTシャツは、襟元に手書きでこう書かれています
「THERE IS MORE ACTION TO BE DONE TO FIGHT AIDS THAN TO WEAR THIS T SHIRT BUT IT'S A GOOD START」
(エイズと戦うためにすべき活動はもっとあるが、このTシャツを着ることは良い始まりだ)
このメッセージが読めるのはTシャツを着ていない状態の時だけで、Tシャツを着ている時はこの文章のうちの大半の文字は背中の内側の部分に隠されて読めない仕様になっています。
それで、誰かがこのTシャツに書かれているメッセージが気になって着ている人に聞いた時、着用している人やその周囲にいる人がエイズの問題について話すきっかけになればというデザイナーの想いが込められています。


環境問題や人権問題についてすべき活動はもっとあるが、この映画を見ることは良い始まりだ。