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部屋のROYのレビュー・感想・評価

部屋(1972年製作の映画)
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回る、周る、廻る。

■ABOUT
360度のパノラマ撮影によって、キャメラがゆっくりと、異なる速度である住居の二つの部屋、台所と寝室としても使用されているリビングを回転しながら映していく。ベッドには一人の女、アケルマンが横たわっている。

■NOTE I
「今日この作品はマイケル・スノーへのオマージュとしてではなく、隠されたものの官能的な力についてのメタファーとして理解できるだろう。ベッドの中にいるシャンタルの仕草が完全にとらえられることはない。彼女は女優となり、この作品はその女優による曖昧なる仕草の示唆によって映画として存在し始める。そのシンプルさで輝いている」バベット・マンゴルト(『映画作家における自画像』、カイエ・デュ・シネマ/ポンピドゥー出版、2004年)

■NOTE II
シャンタル・アケルマンの初期の短編映画『部屋』では、アパートの小さな一室にある家具や雑然としたものが、動く静物画の主題となり、アケルマン自身が私たちを見つめ返している様子が描かれている。この画期的な形式的試みは、監督がニューヨークで制作した最初の作品である。(The Criterion Collection)

■NOTE III
1972年、アケルマンと撮影監督バベット・マンゴルトは、16mmフィルムで、監督の形式主義映画への没頭ぶりを示す2つの挑戦的な作品を自主制作した。最初の作品では、カメラはゆっくりと静かに狭い長屋のアパートの周りを360度回転し、そのたびに同じ物(赤い椅子、皿や果物が飾られたテーブル、カレンダー、捨てられた靴下、食器の積まれた流し台)と、ベッドに横たわるアケルマン自身、彼女の後ろの窓から差し込む太陽光を拾い上げる。ある時はレンズを見つめ、ある時はりんごで遊びながらぼんやりとした表情を浮かべ、またある時はシーツの下で寝返りを打つ。彼女の行動はますます奇妙になり、最終的にはカメラの行動も同様で、4回転目で突然向きを変える。この変化は一見些細なことのように思えるが、実はアケルマンのこの後の作品の鍵を握っている。彼女はわずかな視覚的変化で緊張感を与え、観客にじっくり観察させる。(Viennale)
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