ベビーパウダー山崎

コリドーのベビーパウダー山崎のレビュー・感想・評価

コリドー(1995年製作の映画)
3.5
セリフも物語もなく表情と切り取られた行動。子どもが干されたシーツに火をつけ、銃をぶっ放す。その子どもは、もう少し年上の少年らに何度も何度も水溜りに落とされる。大人たちは歳を重ねていくうちに、もうすでに何もすることがないかのように佇み、ぼんやりと外の果てを眺めている。狭い宇宙のなかで貧民たちが彷徨い、歌と踊りの祝祭が用意はされているが、それもまたそれでしかなく、終わればぼんやりと石の下に籠もる虫のようにただ生きているだけの日常に戻る。映るすべてに意味があるのかどうかもよく分からない。荒々しく作り手の剥き出しの創造、与えられる情報は少ないが、だからこそシャルナス・バルタスの世界に浸り無限に思考を巡らせることは出来る。