晩秋。ロシアの飛地領カリーニングラードで、リトアニア人の青年2人がロシア人の少女と出会う。
泥色茶色灰色に塗りたくられたフレーム。酔っ払い、娼婦、煙草を吸う子ども。青春の甘い響きなど一切ない寂寥感漂うゴーストシティの中で身を寄せ合う若者の無慈悲なまでのディスコミュニケーション。
ゴルベワの無気力な瞳から落ちる涙に感染してしまい立ち直れそうにない。人生を突き放してもくれない。
タルコフスキーの映像抒情詩的要素を排したかのようで、残ったものは人間の揺らぎと虚しさそのものなのだろうか。
バルタスの眼差しを感じる冷徹なカメラ。季節の移ろいが時間の概念を覆い尽くしていく。