安堵霊タラコフスキー

三日間の安堵霊タラコフスキーのレビュー・感想・評価

三日間(1992年製作の映画)
4.7
現時点における最新作のfrostがあまりにらしくない作品で落胆してしまったので、口直しの意味も込めこのシャルナス・バルタスの初期長編作品(というか初の長編?)を見てみたら、やはり自分のド好みの作品となっていて満足。

ドラマ的な場面にドキュメンタリー的映像が加えられていて、映画というより動く写真集のような出来だったけど、海上の船も駅の人々も広場のモニュメントも素朴かつ美しく撮られているから見ていて心地良く、特に走る電車と野原を雲間からの陽光が照らし出すシーンの美しさは尋常でなく、ここだけでこの映画が好きになる良さがあった。

あまり台詞が無いのも好印象で、殆ど情景だけで語ろうとする姿勢はまさに真の意味で映画的と呼べるものだったし、全編に漂う静けさも味わい深くて良い。

ロケ地の雰囲気や色合いがタルコフスキー的な箇所もいくつか見られたけど、タルコフスキー作品好きそうだから意図して似た場所を選んだと思われる。

とにかくこの頃から絵画的味わいのある映像表現となっていて、いつまでも見ていられそうなくらい良かったけれど、この25年後の作品と改めて比べると同一人物が撮ったとは思えない程に作風が違っていて驚く。

ところでちょっとだけクラウス・キンスキーっぽい人物が映ったけど、これが作られた年に亡くなっているからきっと他人の空似だろう。