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巷説百物語 狐者異のSSDDのレビュー・感想・評価

巷説百物語 狐者異(2005年製作の映画)
3.7
■概要
祇右衛門という極悪人が三度目の打首となる。巷では二度も打首にされなおも蘇り悪事を働くと言われる男に今度こそ死を迎えるのかと噂が走る。そんな中、口先三文の怪しげな坊主、売れない物書き、役人、芸の下手な女など様々な人間が事件に関わっていく。果たして妖のことわりとは…。

孤者異-こわい
江戸時代の怪奇談に出る妖怪で、他人のものまで食うような者がなる。執着心で死してもなお食い物を探し求める。怖いの語源とも言われるようだ。

■感想(ネタバレなし)
京極夏彦原作を実写化した本作。
私が観た事があるのは京極作品では魍魎の匣のアニメ版。凄まじい出来で今でもあのクオリティの作品は知らないなと思うほどよく出来たスリラーです。

監督は堤さんで堤さんらしい、トリック、ケイゾクの演出がありコメディ調で描きつつもサスペンスをしっかり進行させるのはお手のものといったところ。

様々なキャストの演技も楽しめ、京極さんらしい妖の話と解き明かしのくだりで満足。

やたらと評価が低いですが、SPドラマという感じで観れるし全然悪くなかった。











■感想(ネタバレあり)
・世の中に不思議なことはひとつもないんだよ
京極さんと言えば妖怪などの研究家なのですが異常なリアリスト。オカルトな話の中でも妖怪と妖と幽霊の違いを起源から解き、何を元に取り憑いていると言っているのかと真っ向から論理的に論破することで憑き物落としとしている。
基本的に怪異は人の仕業か、釈明できる何かであるという筋立てになっているのだが独特の推理手法が面白い。

・孤者異
本作の面白いところは不死者として祭り上げた"祇右衛門"を謳い、無宿人を脅して悪事を働いていた町役人。
それを今度は影武者だったことにして今後は"祇右衛門"を実在する悪人に仕立て直すという筋書きだった。

それを最後に逆手に取り、孤者異という妖怪が"祇右衛門"だったとレッテルを貼り直した上で町役人を処刑させるという解決法。

町役人が作り上げた顔に傷、腹の入れ墨と、繋がった首の後という祇右衛門の特徴をそのまま使う事で町役人を祇右衛門に仕立て上げることに使うのも面白い。

"顔を隠したまま首を焼く"という退治方法だと聞かされれば顔は確認されずに処分までされるという完全犯罪に落とし込んでいるのも論理的なのにオカルト要素を詰め込むのがうまい。

・総評
オカルトと推理とシンクロさせて筋書きを描ける京極さんは本当にどういう脳の構造なのかなといつも感心させられる。
やはり原作読もうかなと思うのものの、レンガ本は勇気がいるなぁ…。
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