片腕ファルコン

ディストラクション・ベイビーズの片腕ファルコンのレビュー・感想・評価

3.7
まず、嬉しいのがこの映画の評価が高い所!誤解を招きそうな表現ですが、一般的な感性でも受け入れられるのですね…。。終始ニヤニヤしちゃう僕がマトモじゃないワケではなさそうで安心しました。。ちなみにコレがOKなら『孤高の遠吠え』という作品も受け入れられる事でしょう!!シネコンでやるべし!

今作を撮った真利子哲也は真性の奇人で、セルフドキュメンタリーでは自分のマンションの屋上からバンジージャンプしたり、予算100万円で映画を作る企画では100万円の札束を破ったり…イカれた事ばっかやってる監督です。(恐らく追い込まれた結果無茶しちゃうタイプかも)

演技力・雰囲気に定評のある若手ばかりを集めた今作は…もしかしたらコツコツ積み上げてきたファン支持率を一気に失う事になるかもしれないような禁断の内容。
108分中90分くらいが暴力シーン?←体感ですよ。

主役の柳楽優弥が、相手の見境なく殴る!!蹴る!!蹴る!!殴る!!セリフが極端に少ないため全くもって人物像が見えてこない。ケンカが強いのかって言えば…際立ってそんな事もないのだが、とにかく倒れても倒れてもゾンビのように這い上がり無尽のスタミナで相手を殴り倒すのだ。不気味以外の何者でもない!こんなのは普通、主人公として成立しないハズなのに何なんでしょうこの魅力。

劇中でも彼に魅了された男が菅田将暉くん。コイツがもうどうしようもないクズで、序盤は[笑えるクズ]だったのに途中から一瞬で[笑えないクズ]へと変貌。個人的には一周回って[笑えるクズ]に舞い戻りましたけども 映画のタブーを打ち破ってるあのクズっぷり、いかがなもんでしょう。。

他にも偶然巻き込まれる事になる狡猾な小松菜奈(おっぱいもみ!)や兄の行方を無心で追いかける村上虹郎君(ムラジュンというよりUAに似てきたな..)、妙に背が小ちゃく見えた池松壮亮君などクセのある面々がそれぞれ存在感アピールしてました。

『イエローキッド』や『NINIFUNI』でも取り留めの無い世界観を放ってましたが今作の不穏さは異常。なのに、全体としては[理不尽]という名の一貫性があってちゃんと作品になっております。。

真利子哲也作品で一番好きな映画!!本当に一般的にオススメしていいものか分かりませんが…必見です。。