海外の映画でよく悪役として出てくる存在「ナチス・ドイツ」。
悪魔のように描いても誰からも文句を言われる事がないため、
仮面ライダーにおけるショッカーの戦闘員ように扱われてる事がほとんどです。
今回の映画もきっとそうなんだろうと思いきや、今までにない描かれ方をされていて驚きました。
まずタイトルにある「忘れ物」とはなにか?
それは第二次世界大戦中ナチス・ドイツが、デンマークの各所に設置した200万個の地雷の事を表しています。
この映画には終戦後に捕虜となり、海岸に埋められた無数の地雷の撤去を命じられたドイツ少年兵と、ナチス・ドイツは悪、だから彼らも悪、と厳しく接するデンマーク人軍曹が登場します。
彼らを激しく憎む軍曹は、ろくに食料を与えることなく、冷酷に地雷撤去を命じます。
美しい白い砂浜に埋められた無数の地雷を、間違えて踏めば即死という極限の状況で、棒きれ一本で探し、撤去していく中、一人、また一人と地雷で吹き飛ばされ命を落としていく少年兵。
その様子を間近で見るうちに、デンマーク人軍曹はやがてナチスに対する憎しみと、少年兵に対する良心の呵責に苦しみ出すのです。
戦争終結後の地雷撤去という名の「戦争」。
大人が巻き散らした罪の犠牲になる若者。
そして決めつける事の恐ろしさ。
そんな戦争の惨さを強烈に感じる作品です。
映画の最後、ある物が「撤去」されます。
それがこの映画の救いかもしれません。