床ずれ

セザンヌの床ずれのレビュー・感想・評価

セザンヌ(1990年製作の映画)
5.0
「正しく知覚すること」!
これほどまでに、単に「見る」ことを教育する映画があるだろうか。

ペドロ・コスタの『歩く、見る、待つ』でコスタが最後に引用している『セザンヌ』からの一節に惹かれて、ずっと見てみたかった作品。先に文章だけ読んだときは、セザンヌの低い声(もちろん聞いたことはないが)を脳内で聞いていたが、なんと映画では女性の声だったことに驚き。女性が力強くセザンヌの言葉を朗読するとき、その声はむしろ少年のように無垢で、軽やかな響きとなって、聴いている者を勇気付けているような印象を持った。
正しく見ること=単に見ることを学ばなければ、セザンヌの絵も、ストローブ=ユイレの映画も、「掴む」ことが出来なくなってしまう。学習、教育を通じて、自分の身体を変化させなければ、映画を見ることなどできないと思った。
床ずれ

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