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セザンヌのsukeのレビュー・感想・評価

セザンヌ(1990年製作の映画)
3.0
車の走行音と道路から始まり、サントヴィクトワール山を捉えるカメラ。セザンヌのイメージとはかけ離れた映像とセザンヌを象徴するような映像をどあたまに組み合わされて面食らう。詩人によるセザンヌの対話が滔々と語られながら、セザンヌの作品や他の映画がわりとがっつり引用されるが、朗読の内容も、映像も、なんとなくセザンヌにまつわっている感じだが、並べられているそれらの関係性や、セザンヌという作家やその制作に対する姿勢、世界の見え方などに関しては簡単には腑に落とさせない感じがある。点描のようで、さまざまな不明瞭なパーツがしかし総体として作品となっている不思議。朗読に関しては、かなり読みのスピードも読み方も、聴きやすいが一時的な経験のものとなり、しかも次々と語られる内容がかなり抽象的、形而上的で理解しようとすると消えてしまう。言葉と映像全てがきっちり配置されている印象だが、はかない。
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