Jeffrey

セザンヌのJeffreyのレビュー・感想・評価

セザンヌ(1990年製作の映画)
3.0
「セザンヌ」

冒頭、大自然の郊外の描写。横移動するカメラ、遥か向こうの家々を撮影。芸術万歳、、モノクロ写真、色彩、物体、沈黙、調和、反響、知覚、テクスト。今、空想的対話からの引用が炸裂する…
本作はセザンヌの過激な絵画観に肉迫するストローブ=ユイレ監督の異色の記録映画2編とされており、この度DVDを購入して収録作品トータル4作品を同時鑑賞した。

とりわけ本作はジョアシャン・ギャスケが記憶の中で再構成したセザンヌの言葉に触発された2本の映画で、それは実物の絵画を直接撮影していると言う点では記録映画とも言えるが、セザンヌと言う人物の虚構化された言葉を劇的に再虚構化していると言う点では劇映画にも近いとされている様だ。


とりわけセザンヌの何点かの絵画とセザンヌが見たであろう風景のショットをジャン・ルノワールの映画やヘルダリンの未完の戯曲に基づいて監督たちが作り出している。

本作は冒頭にある山々や幹線道路を捉えて、後に1枚の老人の写ったモノクロームの写真を始めとする数枚を映し出し、そこから絵画に対しての説明が延々とされてゆく。そこには様々な文学強迫概念や分析が解説され、老婆の絵と共に2枚紹介された後に、モノクロの断片的なドラマ(映画)が始まる。

そしてカットが変わり、カラーの山の一角が映される。そして改めて写真の解説に戻る。


本作はどうやら当時、完成試写を見た人たちに上映を拒否されたらしい。ところで、このセザンヌと言う作品は構成台本を読むと色々と頭に入ってくる。第一にパノラマ(庭のマロニエ)そんでもってドニの撮ったポール・セザンヌの写真の解説が始まる物語なのだが、全文引用すると大変なのでやめとく。

この作品印象的なのが固定画面である。スザンヌが1898年の夏に居を構えたパリのエジェジップ=モロー街15番地にある芸術荘の正面の扉の描写は印象的に残るラストである。絵画が好きだったりそのての歴史好きな人にはたまらない映画だと思うが、長けているわけでもない自分的には色々と下調べが必要な映画だった。
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