T

アンダーカバーのTのレビュー・感想・評価

アンダーカバー(2016年製作の映画)
4.0
暫く、スイーツな映画を見ていましたが、
少し気を引き締めるためにシリアスな問題を扱った本作を鑑賞することにしました。

主演はハリーポッターシリーズで有名なダニエル・ラドクリフです。
日本のものを含めてダークな一面を鋭くかつ慎重に扱っている作品等に関わっていると聞き及んだのが、もう三、四年以前です。

潜入捜査ものは、ドニーブラスコ以来なのですが、興味はあれど私は苦手なんです。
怖いですからね。


時節柄、この手の作品については恐ろしい内容なのであまり書きたくありません。それこそ身の危険を感じますから。

少しスムースにことが進みすぎることと、
粗さは感じましたが、
最後の主人公達の会話が総てを語っています。

潜入捜査、おとり捜査には「没入感」と
度胸、腹芸までもが備わっていないと難易な任務であることがよく分かります。
更に、人格さえも自己意思で「切替」のできる人間であればさらに適任とも言えるでしょう。
但しそれは逆にテロリストとしても「有能」となってしまいますが。

個人の自己責任と基本的な不干渉をモットーとするアメリカらしさの、暗い一面を描写している点では、羊たちの沈黙、
若い政府関係者の活躍などはゼロ・ダークサーティーも彷彿とさせます。

自由闊達をよしとするエンタメとコマーシャリズムの過激な誇張や描写と弊害についても一石投じています。

残酷表現はほぼないですがスリリングさは伝わります。

ダニエル・ラドクリフさんは、群発頭痛という大変な持病を持ちながらハードな役柄に挑戦しており、ハリーポッターでみせる姿は垣間見得ず、顔面の血管を浮き上がらせながら怒声をあげる演技は鬼気迫る。


全体としては、シギントという観点が少し抜けてるかなあ。




「ローンウルフ」によるテロリズムと、それにより大惨事を誘発しかねないことは本作の設定された時期より、現在のほうがより危険性が増しています。
ディープフェイクに、度重なる事件は日本でもありますから。
今後の喫緊の課題の一つと言えるでしょう。
T

T