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バーニング・オーシャンのKBのレビュー・感想・評価

バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)
4.0
人災の実録映画として価値ある一作。燃え上がる炎の熱まで伝わってくるような描写と、決死の救出劇に一気にひきこまれる。この悲劇を実写化した監督やキャストにも脱帽です。

☆2010年4月、メキシコ湾で発生したアメリカ史上最悪の石油流出事故を映画化。当時、石油掘削施設・ブルーホライズンにいた百数十人の作業員の様子をリアルに描き出し、どんな経緯でなぜ最悪の事故現場となったのかが分かります。

映画を見ると、さも一番悪いのはBP社のおっさんたちだろ!と思ってしまう。だが、この事故は複雑な要素が絡み合っていることが分かる。当たり前だけど、人災は特定の人間が故意に起こすものではないということ。

アメリカの石油大手としての売り上げとコストの釣り合いを考えれば、40日以上の作業の遅延はやばい状況で、早く掘削作業に入らなければ…そうしないと上層部から圧がかかるし…と考えてるうちに強行せざるを得なくなってしまった。
結果的に、最も重要な、現場の安全性を軽視して利益を優先することになり、事故が起きた。

こういう事故って大手企業ほど起こるリスク高いよなぁ〜って思っちゃいましたね。
映画のワンシーンでもあったけど、飛行機はほんとは燃料ギリギリで飛ばしたら着陸できないのに、飛ばすと決めたら何がなんでも止めてはならないという判断に至っている…安全性と利益の両立って、難しくなってしまう場合があるのかもしれない。昨今の日本の自動車業界などを彷彿とさせる話だなぁと思いました。 

オープニング〜事故発生までは、作業員の穏やかな日常が描かれながらも、不吉な予感がしたり、次第にほんとに大丈夫なん?って思う瞬間がちょっとずつ重なっていきます。会話と石油掘削の用語?が多いので前半は退屈かも。

事故後のシーンは、まさに現場を目撃してるかのような臨場感。タイトルの通り、海が燃えていて逃げ場がない状況に引き込まれました。

監督は、アメリカ海軍史上最悪の軍事作戦を描いた映画「ローンサバイバー」のピーター・バーグ。主演のマーク・ウォールバーグとのタッグはお決まりなんでしょうかね。素晴らしい演技でした!

最後のクレジットで事故のその後について語られてるんだけど、BP社の2人は故殺罪にかかったけど、起訴が取り下げられてるみたいで、なんか深い闇を感じました…。
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