グラッデン

バーニング・オーシャンのグラッデンのレビュー・感想・評価

バーニング・オーシャン(2016年製作の映画)
3.8
2010年に発生した石油採掘現場の火災事故を描いた実話に基づく物語。

超弩級地獄絵図。よりによって「実話に基づく物語」なのが傷口を深くエグられてきます。フィクションであれば驚きだけで済むのですが、実際の事故映像・写真等が差し込まれることで、一気に現実に引き戻される感覚です。

また、事故・火災発生の絵的なインパクトは非常に大きいのですが、
・登場人物たちの現場の役割
・事故発生の原因
・発生後の被害状況
の3点について専門性も絡んだ多岐に渡る情報を物語の流れの中で要点を押さえて伝えていたので理解が深まりました。

特に、未曾有の事故が発生した背景については、納期・コスト負担に偏った発想が疲弊した現場の判断を鈍らせること、テスト・調査が「安心」を生み出すための担保ではなく「安全」を確保するために実施していることを認識させることにより、事故の教訓を伝える役割を果たしているのではないかと。作品の立ち位置としては非常に良いバランスが取られていたと思います。

ちなみに、反対意見も多いようですが、7年ほど前の出来事、日本では認知度が高くない事象ではあることを踏まえると、本作のオリジナル邦題のチョイスは本編内容を踏まえても良いかなと思いました。