イチロヲ

妖艶毒婦伝 般若のお百のイチロヲのレビュー・感想・評価

妖艶毒婦伝 般若のお百(1968年製作の映画)
3.5
浅草見世物小屋の花型芸人・お百(宮園純子)が、江戸幕府に輸送される金塊強奪作戦に加担する。宮園純子主演による人気シリーズの第1作目。68~69年にかけて全3作品が製作されているが、続編ものではない。

夜鷹の母によって産み落とされた薄幸美人の数奇な運命を描いている作品。本作では、毒婦であることに無自覚だった主人公が、「毒婦であることを自覚するまでの過程」が語られている。

世の中に蔓延している不条理に翻弄されて、世間ズレすることにより、女仕置人としての特殊スキルが解放されていく。見世物小屋の軽業師という設定が、伏線として活きてくるところが素晴らしい。

雷鳴が轟くのなかでの殺害シーンと、敵陣潜入のくだりで流れる前衛音楽がインパクトあり。「相手が毒婦だと分かっていながらも、自らの意志で縛られに行ってしまう」という男性心理がリアルに描かれているのも醍醐味。
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