えいがのおと

後妻業の女のえいがのおとのレビュー・感想・評価

後妻業の女(2016年製作の映画)
3.8
セオリー通りにいかない、自分勝手な人たちが送る、コメディー映画

まず、若い世代の自分が驚くのは、全く熟女好きでもない自分でも、この映画では、大竹しのぶが可愛いと感じることだ。当然、若かりし頃はお美しかっただろうことは、伺えるし、承知しているが、近年の役や出演しか知らない自分は、綺麗だとは感じても、可愛いと思ったことは一度もなかった。しかし、この映画での彼女は、水川あさみ、尾野真知子などと並立して、女性として存在している。そんなところに、演出もそうだが、彼女の役者としての力量を感じさせられた。

物語は、後妻業という、ある種結婚詐欺的な犯罪を題材にしている段階で、かなり奇抜であるが、その展開もまた奇抜である。
純粋に考えれば、悪は必ず成敗されるという流れで、彼女の転落劇を予想するが、そう思われる展開も、一筋縄ではいかない。
出てくる登場人物が、ほとんど、自分のことしか考えておらず、それが、こうした物語を作り上げているのだろう。
結末には賛否あるだろうが、ある意味、悪とは何か(特に詳細に言えば、後妻業は悪なのか)を考えさせられるものとも言える。
全体的に、ギターがメインの劇伴で心地よくもあり、アクセントがあって、いい色を出していた。