唯

6年愛の唯のレビュー・感想・評価

6年愛(2015年製作の映画)
3.5
6年付き合っている点がミソ。
10代から20代前半の貴重な時間を一人の相手に捧げるなんて、凄く勿体ないし、大きなものを失っている気がする。

物語としてではなく、2人それぞれが本人にとって終わりを前提としている。
別れたいとまでは考えていないけど、互いに大切でいるのが当たり前で、それなりの距離感で、だからこそ、他の可能性を試したいという隙も生まれるよね。
特に、これから社会人になるなんて時期には。

教師を目指すメルとレコード会社で働くダン。
学生の頃は、そこまで大きく世界は異ならない。
だが、社会に出れば違う世界があり、違う出会いがあり、違うコミュニティがある。
そうして、段々とずれや溝が生じ、わかり合えなくなる。

揉めて頭部を殴打したり、喧嘩して警察に捕まったりと、とにかくのっけから荒み過ぎて辛い。
鬱々としかしていないのだが、6年経つとこうなるのかと思うと絶望だわ。
酒に酔う・空気に飲まれる・状況に酔う…だから、やっぱり酒には一つも良いことない。
ぜんぶ、酒のせい。

恋愛って、男女って、どっちが正しいかじゃなくて怒った方が勝ちになるの、あれ何でだろ。

「何かを手に入れたら何かを失う」
一人を選ぶってことは、それ以外の70億の可能性を捨てるというハイリスクなことだよな。
その覚悟で付き合って時間を捧げないとね。

ニューヨークでの就職を打診されるダンは、彼女か夢かの選択を迫られる。
「一つの決断で人生は大きく変わる」し、「人生は一度きり」。
だから、厄介で困難。
自分と離れることが信じられないメルと、自分の夢を応援してくれずいつまでも自立しないことが信じられないダン。

メルはすぐ「触るな」とか「出て行け」とか叫ぶので、相当の凶暴メンヘラ。
わがままで重くて依存して来る、手のかかる同い年の彼女にうんざりして、年上の分別ある女性に流れるのは至極当然。
自分が不義理を働いてんのに、勝手に怪我してこっちが悪いみたいになる流れは腹立たしいけど、そういうこと(メルの方が熱量が高いという点で、立場的にダンより下)なんです。

最初から終わってたんだなあ。。。
学生の頃から付き合っていた2人が、倦怠を乗り越えて結ばれる映画も観たいですよ、わたしは。

自戒のためにもまた見るかも。
唯