半兵衛

痴漢電車 極秘本番の半兵衛のレビュー・感想・評価

痴漢電車 極秘本番(1984年製作の映画)
3.5
ちゃんとポルノ映画らしくエロをやりつつもドラマやコメディをきっちりやり、しかもそれをセンスよく仕上げて現代でもそれなりに通用する仕上がりになっているところにのちにメジャー映画界で活躍する滝田洋二郎の才気を感じさせる一作。戦国時代の猿飛佐助がお宝争奪戦の最中に現代へタイムスリップして大暴れという無茶苦茶な内容なのにチャンバラ場面は結構しっかりとしていたり、昔の人が現代とのギャップに戸惑いつつも行動する様を淀みなくテンポよく捌いていく手腕も流石でこういう細部での仕事が出来るのが一流の監督の条件なのかも。

早世した高木功の脚本は全体としてはハチャメチャなコメディ調でありながら、戦国時代と現代という二つの時代に生きている登場人物に実はそれぞれ繋がりがあることを徐々にわからせて最後のお宝をめぐるドラマに説得力をもたらしたり江戸川乱歩の『五銭銅貨』を彷彿とさせる画として映える暗号トリックを使って謎解き要素を組み入れたりと念の入った仕事振りを披露しており感嘆してしまう。

滝田組の『痴漢電車』シリーズの常連である螢雪次朗と竹村祐佳が飄々としたコメディエンヌぶりを発揮してドラマを盛り上げる、とりわけ中央線で客に話しかけたり新宿駅でチャンバラを繰り広げたり車掌がいる前でエロシーンを撮影したりと文字通り体を張った熱演が凄まじく俳優は肉体仕事だという大島渚監督の言葉は本当だったのだなと思えてくる。

ギャグを織り混ぜたエロ場面も結構楽しい、なかでも観音開きのインパクトたるやきっと「そんな技もあるんだ」と不意に感心してしまうはず。
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