さすらいの旅人

かごの中の瞳のさすらいの旅人のレビュー・感想・評価

かごの中の瞳(2016年製作の映画)
3.3
かごの中の鳥は内と外ではどちらが幸せか?
【VOD/WOWOWオンデマンド/配信視聴/シネスコサイズ】

目の不自由な女の人の映画と聞いていたので「見えない目撃者」みたいなサスペンス映画と思っていたが違った。
どちらかと言うと倦怠期の夫婦における妻の生き方についてのドラマだ。ミステリーを巧みに入れてドラマを盛り上げるが不発に終わっている。また、見る視点によって妻の生き方は賛否両論になると思う。観客に結論をゆだねるフランス映画に似ている。

私は男性目線から見て「ただの浮気女の話」としか思えなかった。目の不自由な妻を献身的に守っている夫は正に理想の夫だ。少し反則的な事をやり過ぎた面はあるが、それは妻を強く愛してるからだ。逆に目が見えるようになった妻から夫を見ると、真面目過ぎて面白みのない人間に見えたのだろう。ただ、妻の行動は羽目を外し過ぎていて共感出来るものではない。

本作の妻のカメラ目線の映像はリアルでよかった。観客に妻がどのように見えているか具体的に見せることにより、不自由さを体験させるからだ。それは妻の持っているジレンマが映像を通して直感出来る。残念なのはシナリオだ。観客へのサービスのためか変態シーンを比較的多く描写していたが、ドラマにはあまり関係なく映画的効果もなかった。