銀幕短評 (#114)
「レディ・プレイヤー 1」
2018年、アメリカ。 2時間10分、公開中。
総合評価 74点。
タイトルは、「第1競技者、位置について」のような意味。
硬派の 「ペンタゴン・ペーパーズ」(#113)を作ったスティーブン・スピルバーグが、今回は掌(てのひら)を返すように 痛快なSF長編大作に回帰して、この世評がなかなか高い。
2045年の米国オハイオ州コロンバスが舞台。いまから27年先の未来(ちょうどわたしが ひ孫をあやす頃だ)では、社会がずいぶん すさんでおり、貧富の差がはげしい。人びとが現実社会を一時的に忘れてのめり込めるのが、バーチャル リアリティ(VR、仮想現実世界)の「オアシス」だ。ゴーグルをかけて、センサースーツを着れば、そこは別世界だ。
この映画のウリは、てんこ盛りの過去のヒット映画・アニメのキャラクターや音楽である。’80年代、’90年代から なんでもかんでも飛び出してくる。〇〇と△△が激闘するし、□□の必殺技を主人公が繰り出す。
でも、そんなに未来なら そーゆーことは ホントウはあり得ないのである。71才のスピルバーグが、30〜50才代の観客を楽しませようと、むかしの引き出しから手短かな受け狙いのものをドンドン引っ張り出してくる。2045年は、単なる舞台装置だ。これには乗るしかない。3D上映を観ればよかったな。
VRは、現代 どんどん技術が進歩しているようだ。そのうちに、産まれていなくても ひ孫に会えるようになるだろう。楽しみだ。
余録
作中で、わたしが住んでいたデトロイトをおちょくるセリフが出てきて、ついイラッとする。それから さらにあとになってまた同じくおちょくるので、イライラっとする。大都市のロサンゼルスやシカゴならともかく、コロンバス, オハイオごときに揶揄(やゆ)されるのはゴメンだ。
と思ったら、スピルバーグはオハイオ出身らしいぞ。