糸くず

レディ・プレイヤー1の糸くずのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
3.7
オタクのための夢の国がここにある。

といっても、そこはスピルバーグ、「現実でも愛や喜びを見つけないとね」というメッセージを忘れることはなく、仮想空間で得られる幸せと現実で得られる幸せのバランスに気を配っているのがよくわかるのだけど、それでもやっぱり選ばれし者の夢物語を見せられている気がしてしまって、見た目の華やかさほど楽しくはなれず。

現実で「幸せ」とされることを得るのが途方もなく困難で、希望なんてまるで見えないからこそ、オタクたちは夢の国に閉じこもって生きている。愛を知らない内向きな人間の害悪は至るところに転がっているけども、彼らに「外を見て歩け!」と言ったところで、外には出ないだろう。閉じこもっているほうがずっと落ち着くし、楽だから。

夢の国を目の前に再現してみせたことより、「CGだから別にいいだろ」という感じでゾンビの頭をグチョグチョ踏み潰す残酷描写をちゃんと入れてくるあたりに「スピルバーグ、最高!」という気持ちになった。あと、あるホラー映画へのびっくりするくらいにストレートなオマージュにはニンマリ。
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