喜連川風連

レディ・プレイヤー1の喜連川風連のレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
4.0
人間が理想化された世界に逃げる場所としてスピルバーグが選んだのは華の80年代だった。

スピルバーグ自身にとってもアメリカ・日本にとっても消費社会という側面でピークを迎えた時代。
デジタル機器に人が毒されていない最後の人と人が密接に関わり、繁栄した時代だった。

それをデジタルVR世界で再現して見せるのだからすごい。

ガンダムvsゴジラ
デロリアン×AKIRAの金田バイク
デュランデュラン、ヴァンヘイレン、マイケルジャクソン当時のポップカルチャー総出演に胸が熱くなる。

なにより、キューブリックの正当後継者として、名高いスピルバーグがシャイニングの世界を再現し、そこに飛び込むとは思わなかった。
映画館で叫びそうになるくらい興奮した!

加えて、虚構の世界に囚われた主人公のオマージュとしてシャイニングが使われている。

一度じゃ気づけない演出も多々あっただろう。

この感覚を年を取ってもなお、持ち続けられる監督にも敬服した。

プレイヤーが力を合わせる様はサマーウォーズを思わせたし世界観はSAOを遥かに凌駕していた。

最後、ゲームの創出者ハリデーが発するメッセージは過去にジュラシックパーク、ETなどのSF大作という虚構を作ってきたスピルバーグ自身にも重なるだろうし、
「映画に逃げずに、現実に生きろ」の
メッセージはホドロフスキー(ホーリーマウンテン )・キューブリック(時計じかけのオレンジ)以来、脈々と受け継がれてきた金言。

生きてる実感がますます薄れている昨今。

現実と虚構。
生の実感。
妄想上の綺麗な影のある女の子。
ジブリアニメが問いかけ続けてきたような主題をもつ作品が年々増えているように感じる。

排泄と睡眠と描写されていないが、セックスが人間に現実で生きる実感として残されてるものというのも、キューブリックを想起させた。

最後、彼がニヤリとして撃たなかったのはゲームを心から楽しんでいるプレーヤーを目にしたからだろうか。

ファックするために現実を生きよう!
喜連川風連

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