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レディ・プレイヤー1のYYamadaのレビュー・感想・評価

レディ・プレイヤー1(2018年製作の映画)
3.9
【監督スティーブン・スピルバーグ】
第32回監督作品
◆ジャンル:  
 SFアドベンチャー、ファンタジー

〈見処〉
①80'sの覇者スピルバーグの集大成
・『レディ・プレイヤー1』は、スティーブン・スピルバーグがアーネスト・クラインの小説「ゲームウォーズ」を映画化した、2018年アメリカ公開のSF映画。
・舞台は、富の格差が激化し、多くの人々が荒廃した街に暮らす2045年。世界中の人々がアクセスするVRの世界「OASIS(オアシス)」にアクセスし、仮想の人生を楽しむことが若者たちの唯一の希望だった。
・ある日、オアシスの創設者で大富豪のジェームズ・ハリデーが死去、オアシスの隠された3つの謎を解明した者には、彼の遺産5,000億ドル(日本円で約56兆円)とオアシスの運営権を明け渡すというメッセージが発信される。
・それ以来、世界中の人々が謎解きに参画。17歳の内気な青年ウェイドもそれに参加していた。オアシス内で謎の美女アルテミスと出会ったウェイドは、1つ目の謎を解き明かすことに成功。一躍オアシスの有名人となるが、ハリデーの遺産を狙う巨大企業IOI社の魔の手が2人に迫る…
・本作は近未来を舞台にしたSF映画にありながら、作中のキャラクターやBGMは80'sが中心。スピルバーグが覇権を得ていた古きよき時代の冒険心を感じさせる、スピルバーグの総決算的な作品である。

②世界観の二面性
・本作は「荒廃した実社会」と「夢とスリルに溢れるオアシス」の二つの世界を描いている。過去のスピルバーグ作品では、『BFG』にも同様の要素があるが、その設定はまさに『マトリックス』。
・スピルバーグが本作の演出を決めたのは、同時並行にて二つの世界を対比させる演出のためだという。彼の手掛けた世界観は、バーチャル世界のほうがリアリティーを感じる人物描写となっている。
・なお、本作はスピルバーグにとって『プライベート・ライアン』以降、最も製作が困難な作品だったそうだ。本作のポストプロダクション中に『ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書』を製作したのは、そのためである。

③トリビアが止まらない
・本作には80'sのオマージュとともに日米の主に80~90'sのキャラクターや作品の要素が数多く登場。本作鑑賞後に沢山の解説サイトをチェックしたが、登場するキャラクター数は判らずじまい。
・意外なのは、スピルバーグは自惚れと批判されないように自作のキャラクター登場に消極的であったこと。原作者の説得によ「デロリアン」は登場も、原作に登場するインディ・ジョーンズやE.T.は未登場。また『未知との遭遇』の宇宙船は、権利取得出来なかったそうだ…などを書いていくとトリビアがとまらなくなるが、裏返せば何度でも楽しめる作品である。

④結び…本作の見処は?
未来のバーチャル世界がコンセプトであるが、表現したい内容はスピルバーグが20代から描き続けてきた冒険心は普遍。40歳以上の人に観てもらいたい。

○: スピルバーグ作品の凝縮形。冒険心に加え、スピルバーグ初の青春映画に仕上げたのは『スーパーエイト』や『ストレンジャー・シングス』などの作品の逆オマージュ影響もあり?
○: ヴァン・ヘイレン、プリンス、ティアーズ・フォー・フィアーズ、ダリル・ホール&ジョン・オーツ…ジョン・ウィリアムズが参加していないスピルバーグ作品ながら、まさに80'sベストヒットUSA。劇中曲げ楽しい。
○: ストーリーの大枠は『タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密』とほぼ同じながら、スピルバーグの演出に進歩を感じる。
▲: マイナス点ではないが『シャイニング』未鑑賞の方は、鑑賞後に本作を楽しんだほうがよい。

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以上、約1ヶ月かけて、スピルバーグ作品を連続鑑賞しましたが…

◆お気に入りベスト5
①インディ・ジョーンズ/魔宮の伝説
②キャッチ・ミー・イフ・ユー・キャン
③アミスタッド
④プライベート・ライアン
⑤レイダース/失われたアーク

◆再鑑賞にて評価があがったのは
①ターミナル
②ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
③ミュンヘン
④宇宙戦争
⑤ロスト・ワールド/ジュラシックパーク

◆やっぱり嫌い
①フック
②タンタンの冒険/ユニコーン号の秘密
③1941
④マイノリティレポート
⑤続・激突!/カージャック

以上
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