ゆかちん

素晴らしきかな、人生のゆかちんのレビュー・感想・評価

素晴らしきかな、人生(2016年製作の映画)
2.8
「愛」と「時間」と「死」。
この三つが全ての人を繋げる。

うーむ。
テーマとしては、人生論で。
中でも、喪失と死との向き合い方が重く扱われていたような。

特別暗いわけでもなく、悪い人もおらず、優しい空気が流れてるし、最後は、ホワッと一歩踏み出せた感じで終わったけど、なかなか重かったなぁ〜。。

ただ、俳優陣が豪華で、とても良かった。
あのエドワード・ノートンが普通の人をやっていたよ!笑


広告代理店の代表として成功してきたハワード(ウィル・スミス)だったが、愛する娘を失ったのを機に仕事も私生活もままならなくなる。やがて会社の業績も悪化し、社員のホイット(エドワード・ノートン)、サイモン(マイケル・ペーニャ)、クレア(ケイト・ウィンスレット)も気が気ではない。
そんな中、ホイットたちは、舞台俳優の3人(キーラ・ナイトレイ、ヘレン・ミレン、ジェイコブ・ラティモア)と出会い、ある作戦を思いつくが……。



うーん、辛い。
子どもを亡くすって、辛いよな〜。
喪失との向き合い方…かぁ。
普通に愛する家族や仲間を失うことも辛いし、耐えられるのかな…とか思うけど子どもってとびきり辛そう。
子を亡くす辛さを乗り越えるのめっちゃ大変やろな。。や、乗り越えられないのかもな。
でも、受け入れていくということなのだろうか。なんとか受け入れて、周りとの愛と共に、少しずつでも前に進むことが大事というか。
うううむ。


ホイットたちは、会社の買収を成功させるため、買収に応じないハワードが判断能力なしと証明するため劇団員たちに頼み、「愛」「時間」「死」という人ではない観念の存在(妖精さんみたいな?)を演じてもらい、人ではない存在と話すハワードがおかしいみたいに仕立てることに。

かくいう、このホイットたちもハワードに負けず劣らず辛いものを抱えていて。

ホイットは、自分の不倫により離婚したことで最愛の娘との「愛」を失っている。
サイモンは、死に至る病が再発し、「死」期が近い。
クレアは、子どもが欲しいけど結婚する暇も相手もなく、「時間」に焦っている。

この3人が、それぞれの役者とペアになってるのがポイント。

愛を演じるエイミー(キーラ・ナイトレイ)は、ハワードのことのために演じると見せかけて、ホイットに娘に向き合い、愛を復活させろという。
時間を演じるラフィ(ジェイコブ・ラティモア)は、クレアに、時間はいくらでもあるという。母親になるというのは、自分が産むだけではないという。
そして、死を演じるブリジット(ヘレン・ミレン)は、自分の死期を家族含めた周りに話さないサイモンに、家族に告げることを促す。

この映画のフワッとメルヘンぽいところは、果たしてこの劇団員3人は、本当に普通の人間の劇団員なのか?本当は妖精さんなのか?というところ。
エイミーはこの演技に反対するんだけど、ホイットを自分たちの劇場に来るよう仕向けたのは彼女で、そのことについてブリジットと「成功したね!」ていうてた。
また、実は、ハワードの元妻マデリンが娘が死を迎えるのを待っている時に横に座り、原題であるCollateral Beautyについて助言していたのはブリジットだった。

こうみると、やっぱ3人は妖精さんか何かで、人生に苦しむ人たちを導いてたのかなーと。マデリンとハワードもなんやけど、ホイット達も抱えるものが重いので、まとめて解決しちゃおう!みたいな笑。
だって、あの3人、周りの人達と絡んでるシーンがなくて、ハワードとホイット達以外には実際にも見えてなさそうにも映してた。どっちの解釈も出来るような演出なのかも。



明るいウィル・スミスしか見たことなかったから、こんなに廃人になってるの初めて見た。自分の殻に閉じこもって死んだ目で茫然と過ごす。自転車で道路を逆走とか危なかっかしい。

最初のイキイキとしたところから、死んだ目で閉じこもるところ、ホイット達ほ作戦を知った上でホイットたちに助言などをするところ、最後、マデリンの家でようやく娘の死を受け入れて抱き合うところへの変化が良かった。じわじわしてて、とても繊細な演技をするんだなぁと。

同じように子供を亡くした親の集まりを主催するマデリン。
ハワードは、彼女の主催する会に参加し、マデリンと初めて会うように他人行儀で話してるから知り合いでは無いのかと思いきや、なんと元妻。
2人の娘の死がショックすぎて、「他人に戻れたらいいのに」と手紙を渡して離婚したことから、辛すぎて、ただ離婚するだけでなく、マデリンとはまさに「他人になった」ってことだったのかな。
よく耐えたよな〜マデリン。
このマデリンをナオミ・ハリスが演じる。めっちゃ適役。聡明な女性が似合うな。


エドワード・ノートンの普通の人の演技が新鮮w不倫男で良くないけど、かっこよ〜。
ケイト・ウィンスレット、美人〜。美人だけど、華やかな役より、人が良くて苦労してる感じがよく似合うかも。
あと、マイケル・ペーニャ!アントマンでめっちゃコミカルキャラを演じてるイメージが強いから、辛みを背負う男性役やるのが新鮮!結構良かった。普通の役もいいね笑。

キーラ・ナイトレイも可愛くてまっすぐで良かったけど、やっぱヘレン・ミレンが良かったな〜。
存在感と安定感。劇団やってる普通の女性って感じなんやけど、少し距離を置きつつ、ピシッと指針になることを示していく様子がいい。名女優やな〜。華やかな服を着た時はやはり美しいし。
ジェイコブ・ラティモアも悟った若者って感じで良かった。

なんか、喪失感と希望っていう感じでした。

絶望しても人生は続いていくし、続いてる限り進まなくてはいけないなぁと。
辛い時、誰かと繋がれてたらいいなぁと。
そんな感想になりました。


ただ、邦題が良くないな。
原題のままか、幸せのオマケにすれば良かったのに。
ゆかちん

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