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マネーモンスターのSkttrbrainerのレビュー・感想・評価

マネーモンスター(2016年製作の映画)
4.0
上流1%が下流99%の人間の富を所有する現代。我々の無関心に一石投じるジョディフォスター監督作。

The Big Shortと同じく、ウォールストリートのシステムの腐敗を扱っている。よりサスペンスとエンターテインメントに寄った作品になっているし、ユーモアも適度に散りばめられているので、The Big Shortより気軽に鑑賞できる作品になっている。

ジョージクルーニーは口軽く、調子のいいTVショーホストを演じているがこれはハマリ役。見た目が良く、いかに株式についてを魅力的に伝えるかに長けているが、本当の知識はないし、自分が話していることに対する責任など考えたこともない。なんか最近そんなやついたな。ショーンKだ。まさにテレビの問題点。中身より見た目が大事。
ジュリアロバーツも素晴らしい。生放送中に事件が起きようとも、それを商魂たくましくテレビドキュメントに構成してしまう敏腕プロデューサーを演じている。エリンブロコビッチといい、今作といい男勝りの仕事の出来る女役は向いている。
ナイトクローラーでも恐ろしいと思ったテレビマン心理。目の前に事件があるとそれを利用してしまう性。怖い。

と、テレビ業界の問題点が垣間見える本作には、三つの立場の人間がいる。メディア、金融業界、そして我々大衆である。

事件を起こすカイルはメディア、金融業界に利用された学歴のないブルーワーカー。
番組ジャックという犯罪の形で、メディアと金融業界に抵抗を見せる。
間違ったやり方ではあるが、我々大衆
に警鐘をならしてくれる。金融業界とメディアは我々から搾取していると。

だが大衆は同情はせども、それを傍観することしかできない。
そして、敵であったはずのメディアがいつの間にか、大衆の味方に衣替えしている
。金融業界とズブズブであるはずのメディアだったのに、終わってみればメディアの一人勝ち。しかも我らの味方かのように。
でもそれは違う。メディアは大衆を利用する側である。けれども我々は気づいていながらも何もできない、何も変わることはない。そしてそれに対して無関心を装い続ける。
この映画はそんな無関心な我々に金融業界のシステムの腐敗とメディアの狡猾さを見せつけてくれる。我々はカイルの立場にいることを忘れてはいけない。
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