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ザ・ギフトのマーチのレビュー・感想・評価

ザ・ギフト(2015年製作の映画)
3.5
《本当の贈り物とは🎁》

【レビュー💐】
この映画のタイトルは『ザ・ギフト』で、ギフト=贈り物。そこに込められた真意と主人公夫婦の置かれている状況を考えれば割と序盤でラストの展開は予想できます。

私自身、序盤の方である程度していた予想が全くその通り展開されたので、ストーリーに然程驚きはありませんでしたが、今作における真相の明かし方はスリラーでありながらホラー及びサスペンスの要素も組み込まれており、緊張感の張り詰め方が非常に上質で、巧みなのである程度の楽しさは保証できます。

しかも配役がバッチリで、異様な程に妻LOVEなサイモンの現在の性格には過去の出来事の投影がされていて、どれだけ取り繕っていても後々己のクズさが露呈する姿は圧巻で、どうしようもない程にクズ野郎なのがビシビシ伝わってくる好演をしているのが夫役のジェイソン・ベイソマン。

優し過ぎるといえば優し過ぎる性格で、愛していた夫に疑念を持ちはじめ、たどり着いた真相に思い悩む様子がこれまた上手い妻役のレベッカ・ホール。

そして何といっても「不気味さ」と「怪しさ」を調和させた気味の悪さ全開の男という側面と、過去に起きたことが発覚したことをきっかけに弱気な演技に切り替え、見事にそちらの側面でも繊細に演じきったジョエル・エドガートンの力量!

この3人の演技が“物凄い”というよりは“しっかり”しているので、観る側も知らず識らずのうちに作品の中にすっかり溶け込んでいます。

『ドント・ブリーズ』の時にも感じた、細部まで気配って誠実に手堅く作り上げられている感じがしました。『ドント・ブリーズ』はホラーですが、スリラーで丁寧・誠実に創られた作品はこの『ザ・ギフト』で間違い無いでしょう。

今作から受けた印象を擬人化して表すなら「真面目で寡黙な男」です。冷静に難なく仕事はこなすタイプなので、頼りにされる方だとは思いますが、何せ真面目で寡黙な為、人としてはあまり面白くは無く、ある一定の人からは疎まれる様な…そんな存在です。

作り込まれたスリラー世界を堪能できるので、興味のある方は、是非。

【p.s.💝】
ジョエル・エドガートンが監督や脚本まで手掛けてるんですね(((o(*゚▽゚*)o)))♪

ある程度展開が分かってしまっていても、サイモンのクズさとゴードの過去の性格が垣間見え始め2人の関係性がくっきりしてからのリアルさは凄いですし、スリラー作品として単純に演出が面白い!

あと意外と指示通りに1から2、3と開けていくサイモンには笑いました!
2ヶ所驚かせにくるポイントがあるのですが(犬🐶がバーン!とか)、両ポイントとも「どうせ何も来ない空かしパターンでしょ〜」と高を括って油断していたので、案の定珍しく両方ともビビりました…怖かったです。笑

最後のゴードの背中に、「本当のお前の性格なら真実はあっちでいいんだよな? お前は本当は優しくてそんなことできる様な男じゃないもんな?」と心の中で投げかけていた様な気がします。
そう思うことで救われるというか、あっちだとしたら怖過ぎるますからね…戦慄の悲劇ですよ……

【映画情報🎁】
上映時間:108分
2015年 アメリカ🇺🇸/オーストラリア🇦🇺/監督・脚本・出演 ジョエル・エドガートン/キャスト ジェイソン・ベイソマン/レベッカ・ホール/幸せに暮らす夫婦が、ある男から執拗にプレゼントを贈り続けられる恐怖を描く。
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