最高にクールな音楽映画。絵と音とストーリーが一体になって、観てるこちらの気持ちをどこか遠くへ連れていくよう。映画を観る快感は、こんなところにもあったのか。この気持ち良さは、きっとサントラだけでは味わえない。
主演のアンセル・エルゴートの、演技を超えた存在感もすばらしい。サングラスで表情が隠れていても、いやその後ろ姿からだけでも、ベイビーの寄る辺のなさや罪悪感、その中にある芯の強さが伝わってくる。現在のアメリカ人俳優で、屈折した若者を演じさせたら右に出るものはないんじゃないか。
クライマックスにかけてのストーリー展開は、中途半端な複雑さとご都合主義が合わさって、正直イマイチ。もう少しシンプルな「おとぎ話」にするか、もっと丁寧に内面を描いたり事を進めたりするか、どちらかにしたら見やすかったかなと思う（希望としては断然前者！）。
