つかれぐま

バービーのつかれぐまのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
2.5
23/8/18@新宿ピカデリー❶

説明台詞の洪水で何を伝えたかった?

皆様のレビューがみんなバラバラなのはその証左。「何にでもなれる」≒「何者にもなっていない」のロールシャッハ。フェミも反フェミも双方をディスることで「中立」というポジション(アランのような)をズルく取ろうとしたのかもしれないが「分断への諦観」が前に出てしまったかな。異文化コメディの前半は笑えたのに残念。

数年前のフェミニズム表現で時計が止まっている印象。今はその先の分断を論じるステージに入るべきではないかと。ピンクという「女性イメージ押しつけ」への皮肉で始まった本作だが、結局バービーランドはピンク色のまま終わる。レインボーですらない(多様性のない)ディストピア。そこを抜け出したのは、創造主の寵愛を受けた主人公(美人&白人&ブロンドの最強コンボ)のみ。これ、ルッキズムの極みでしょ。細心のポリコレ対応を取りながら、最後の最後に大きな隙が。普通の映画でやるならいいけど。

それはわかってますよ的に「マーゴットが言っても説得力がね」というメタ台詞が置かれるのがまたズルい。そこに限らず全体が、酷評するのが難しいように作られているのがなんだかね。