nere795

バービーのnere795のレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
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たまたま宣伝方法に問題があった…、ということなんだろうか?
内容はいいのに観ないのは残念、みたいなレビューが多いのだが

この映画が、バービー人形の実写化ではあっても、子供が夢見るような、実際にお人形さんが動いたら…というものではない、位は誰でも知っているし、むしろそれは事前によく認識しないといけない 
巷に溢れる「映画評論」に名を借りた宣伝でも、さすがに子供向けとはしていない

その上で、「一見バカみたいなちゃちな造りだが実際には単なるフェミニズム一辺倒ではない」位で「深い」と「感動し」てる向きには、いったい今まで社会に対してどんな対応をとってきたのか、と疑問を持たざるを得ない

もちろん、それよりも浅い、単なるフェミニズムのプロパガンダと理解している段階にとどまっている(例えば、自分(=女性)が子供時代「お人形遊びさせられた」違和感がこの映画で吹っ切れた、等)のは、問題外なわけだが

作品の内外で繰り返される制作側の「バービーには性器がない」というモチーフは、いうまでもなく、ジェンダー「だけ」に特化した女性問題の理念型であり、だがそれが、最終的には、セックス抜きには語りえなかった限界を自覚するもの(両方を備える人間を伴ってバービーが産婦人科を訪問するのはその象徴)である 

だがその程度で深いとか感心してどうする?というのが率直なところで、要するに、ジェンダーレスだのなんだのを、勝手に問題提起しておいて、それが実は簡単には解決できない、それこそ深い問題だということに、ようやく気が付いたのかよ!っていうツッコミでしかない

お人形遊びは、メスのチンパンジーでも観察される
人間の生物としての生殖行動の一環だし、それを否定して、「女の子には人形遊びをさせるな」と言っていいのか?あたりを漸く気が付きだしたのかよ?としか ジェンダーとセックスを区別しろ、って言っておきながら、実際にはその両者を切り離すことなどできやしない、って、なんで最初っから区別しようと思った??

つまりは、結局のところ、アメリカ(欧米、まで広げていいかは迷うが)人が考えた浅知恵の後始末をこんな作品で「考え直す契機になれば」みたいに手間暇かけなくても、とっくに他の国民は、そんな簡単に割り切れるもんじゃないことを知っていたのだが

「アメリカ(白)人の、アメリカ人によるアメリカ人のための」論理を、この映画でも押し付けられている、それは、昨今のディズニー映画にみられる、ポリコレ映画と、メタな構造では一緒だし、原爆に対する無神経な扱いやその不始末への対応の杜撰さにも、それが表れている、つまり、宣伝での顛末は、「たまたま」や「不注意から」ではなく、本質的なものなのだ、と

「つまらないことにこだわらずに、深いからぜひみんなに見てもらいたい」と言い放つ人には、その「つまらないこと」としたことの本質的意味を今一度是非考え直してもらいたい 911を茶化した日本映画をアメリカに売り込んだとしたらどうなるか?というよく言われる例示を含めて
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