このレビューはネタバレを含みます
バービーを100体以上持っているコレクターの私から観ても、監督はバービー、マテルの歴史を良く調べたようで、大変面白かった。
妊娠ミッジ、アラン、イヤリング・マジック・ケン、ビデオガールバービー、胸が成長するスキッパーなど、過去に物議を醸したシリーズが次々、登場し、マニア心をくすぐる出色の出来。
(紫のイヤリング・マジック・ケンがライアン・ゴズリングケンに賛同して、男性性を追求する行動から、外れていたのは何故?
―イヤリング・マジック・ケンは発売当初、ケンがゲイになった!! とその筋の方々から、大喜びされたケンだからです。)
ケンのファンでもあるので、作中のケン愛に溢れる描き方にも涙。ライアン・ゴズリングはアカデミー助演男優賞にノミネートされて欲しいくらい。
気に入らない点は冒頭の赤ちゃん人形が壊されるシーン(人形好きとしては人形可哀想)、夢の世界の住人より、現実世界の人間が大事、みたいな有り触れた説教臭さが炸裂する所の2点のみでした。
人間が人形にふんするキッチュな面白さが細部にわたって表現されていたのが、痛快で何度も観たくなる作品です。
人間が人形遊びをする上でのフェティシズムも良く描かれていたと思う。
フェミニズム映画としても、安易な結論に飛びつかず、監督自身の迷いが感じられるところに誠実さも感じた。
人形もの映画としては『マーウェン』とコインの表裏になるような作品だと思います。