Wakana

バービーのWakanaのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.2
これはバービーというよりむしろケンの物語として見たかったかも。
序盤のバービーランドでケンが居心地悪そうに、悲しそうにしていて、マーゴット・バービーの加害性について結構丁寧に映していた。マイノリティへの暴力はこんなにもありふれて誰でも〈エージェント〉たりうるのだ、とわりと誠実な態度をとっていたと思う。ケンが現実世界で「目覚め」ていくときだったかに流れるサム・スミス “Man I Am” だって皮肉が効いてていい歌だった。そこ極めていくならもっと好きな映画になった気がする。

でもあくまでもバービーの映画を作る必要があったのかしらね。そのあとバービーたちが失われたエージェンシーを獲得するには……という話になっていった。
さらにグレタ・ガーウィグとノア・バームバックのペアが撮るバービーにするには、バービー(あるいはマテル社)がどのようにルッキズムに加担してきたか、その思想の根源はどこにあるのか……ということもカバーする必要があったのだろう。後半、女性エンパワメントの展開が性急すぎてちょっと軽薄な感じがあるよなあ、と思った。
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