のん

バービーののんのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.3
呪いからの解放

バービー人形を題材にグレタ・ガーウィグがメガホンを撮ると聞いた時、どんな作品になるか想像がつかなかったが、なるほどこれはエンタメ作品としても社会風刺としてもとてもよく出来た作品だと思う。


予告でも象徴的に使われた『2001年宇宙の旅』のパロディなど、映画ネタを仕込みつつ、しかもそれがテーマのひとつである「有害な男性性」と繋がっているのも面白い。


「男らしさ」を戯画化した描写の数々には苦笑するしかないが、これは私たちが生きる現実社会の鏡でもある。女性に数々の「呪い」をかけて意識的、あるいは無意識に性差別的なふるまう。コメディチックに描かれてはいるが、これは監督と、そしてプロデューサーでもあるマーゴット・ロビーの怒りだろうと思う。


最後は「人間らしさとは何か」まで問いかける普遍的かつ哲学的な結末に着地。まさにいまを代表する映画として面白く観た。

この映画を観て「男性を攻撃しているフェミ映画」と感じた人はかなり要注意だ。
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