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バービーのmizukiのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
4.6

このレビューはネタバレを含みます

昨今、「男も女も関係なく尊重しましょう!」が「男は女っぽさ、女は男っぽさを出してもいいよ!」とか「男も女も同じ人間!同じように扱うことが平等」とか、なんか色々ズレた方向にいっていて、ずーーーっとモヤモヤしていましたが!この映画はなんと…!!「性差はありますが!」という前提からスタートしてくれます。このご時世に、ほんとまずはそれだけでありがとう😭…。
そう、男と女は根本的に違う。まず体が違う。そして、男脳と女脳は全然別の考え方をする。内面に関しては、男脳を持った女性、女脳を持った男性がいると思っている。1人の人間の中にも、女脳6割、男脳4割とかになっていると思う。つまり、体と心の性は一致してる必要がなくいずれも男と女に完全に偏っていないことも多い。見かけの性別と、男らしさ、女らしさは一致してることも一致してないこともよくあるということ。
バービーランドは、まさに女脳が好きな世界ですね。パステルピンクの世界で、女性らしい体型を活かした服を纏い、みんな可愛くて優しくて、女の子みんなで助け合っていて仲が良く、毎日がパーティー。私も好き。
このバービーランドのような世界が、昨今ではステレオタイプ化されており、てっきり「自分は女性の希望である」と思っていたバービーは現実世界の女の子に「お前が偏った理想像を作った!」と言われてしまう。確かに、バービーは女性像の固定化に繋がっていたかもしれない。"女性らしさ"を演出できない女性は「ブス」と呼ばれていた時代があったのは、悲しき事実。
一周回って、そのステレオタイプな女像も女性が表現していい"女らしさ"の一部とすべきだと私は思う。なぜか除外されがちな気がする。なぜか、今は中性的なルックの方がウケる。それもそれで偏ってると思うなあ。それでは、ファッションが貧しい……。中世的なルック、女らしいルック、男らしいルック、全部自己表現の味方でいてくれるんだよ。

この作品は、女社会であるバービーランドの世界から始まり、男社会である現実世界にやってきてケンが「男性の地位ってもっと上げていいんだ…!」と感化されて、バービーランドを男社会にしていくという…我々の社会の縮図?と思えるような流れだった。男が優勢になったら女が反発して女社会を作り、それに反発してまた男社会を作り…繰り返す。それじゃ埒があかないって。体と心の性をごっちゃにして、女と男に二分して強弱つけるのは雑じゃない?って超思う。女である前に、男である前に、1人の人間。でも体つきは違う。じゃあ、どうしても生体学的に抗えないところは男と女協力して助け合いましょうねってことだよ〜〜。女が妊娠出産する間、外のこと(仕事とか)は男が頑張りましょうとか、筋肉量が多い方(大抵男の方が筋肉多いかな)が力仕事してその代わりにもう片方は料理とか細かい作業したりとか。ぶっちゃけ出産以外はご夫婦ごとにできることできないことはその人それぞれになる気がするから、ケースバイケースでできることをやる、が得策だと思うなあ。男だから、女だから、じゃなくて、目の前の人間と対峙した時に自分ができること、相手に任せられることは何か?を考えることが大事だと思う。それが、「人として尊重し合う」ことではないでしょうか。女は家、男は外を覆そうという動きには賛成する、でもそうなった理由が全然ないわけではないことも忘れちゃいけないかなと思う。


「男を立てるために生きること」でも「女を守るために生きること」でもなく、「私が私として生きること」を目指すことが私も大事だと思う。じゃあ自分のためだけに生きるのか、なんてことじゃない。自分を大事にできるから、本当に大事な自分以外の人間に出会える。私は、自分を大事にした先に出会える最高の仲間・同士がいることを信じているし、どんどん出会っている最中だなあという自覚もある。
その結果、バービーが持った純粋な夢・希望が可愛すぎて胸がいっぱいになった…。「人間になってみたい」……。我々人間は、「お人形さんみたいになれたらなあ」と思うけど、ないものねだりなんだよね。我々は、あの無機質さに憧れる。ヴァニラちゃんみたいに、たくさんのリスクを背負ってまでフランス人形になろうとしている人もいる(彼女は本当に美しい 大好き)。人形は逆に、「いずれ死ぬしたくさん悩むけど、常に変化して予想外のことが起こる、ドラマチックな"人間"になってみたい」と思うかもしれない。人間の女性にならないとできないことは…!婦人科の検診!(なんで婦人科?って一瞬思ったけど、生殖器を得たことの暗示=人になったという生物学的証明だと解釈しました)おめでとう…😭
映画館で、そのバービーの動機があまりに純粋で泣いた。女にしかわからない感情かもなって思ってたけど、隣の男性が同じシーンで涙ぐんでいて、ああやっぱり女にしかわからない感覚なんてないんだなって思って少し感動した。なんでも女だけのものとか、男だけのものとか、しちゃいがちだけどしないほうがいいですね。
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