Taji

バービーのTajiのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.1

間違いなく2023年を代表する一本。
“バービー”というキャラクターに甘んじた色もの映画ではなく、至極真面目に作られた“ちゃんとした映画”。

劇中のバービーランドは、リアルワールド(現実世界)と対になるわけだが、安直な女性至上主義という簡単な結論に行き着くわけではなく、人間そのものを肯定して包み込むエンパワーメントに溢れた自己肯定の物語だった。

バービーもさることながら、ケンの物語が非常に興味深く、有害な男性性を暴走させてしまうケンもある意味被害者の1人。
バービーワールドにおける“ケン”は、リアルワールドで“女性”というアイコンに押込られ、
個性も能力もないものにされた女性達の投影にも思える。

有害な男性性、女性を男性奉仕のアイコンとして捉えない考えに大きくNOを突きつける本作の姿勢には清々しさを感じる。

本作は安易に“ケン”を否定することも、“バービー”肯定することもしない。
非常に実直で等身大な映画だ。

とはいえ、エンタメ作としてギャグは終始キレッキレだしとにかく観ていて飽きない。
ケンとバービーの間に入る人間のストーリーも物語上のツイストになり無駄がない。

非常に優等生的。

米公式Twitterによる軽はずみなツイートが非常に勿体無いが、この夏少しでも多くの人に観てもらいたい一本。

またみよう。

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