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バービーのますのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

昨今フェミニズムを扱った映画が増えているが、これはその中でも異色の「みんなで笑えるエンタメ」なフェミニズム映画だった。
テーマがセンシティブなため守りに入ってしまいそうなところだが、そこは流石アメリカ。ブラックジョーク・パロディ・メタ表現・アホなポップさを上手に使ってバランスを取りながら、いい塩梅に攻めの姿勢を保っていた。お家芸!

そしてこの映画の一番いいところは「男性の立場と気持ち」に目を向けてがっつりフィーチャーしているところだと思う。
自論展開になってしまうが、自分は「生まれ持っての属性のせいで人生の選択を制限される状態は生産性も幸福度も下げるわよ!」と思っており、現在は女性が社会進出しやすくなる方が良いと考えて便宜上フェミニストなのだが、最近の攻撃的なフェミニストにはだいぶ辟易していたので、彼女ら(や彼ら)に欠けてる考え方=「男性側を無視して女性の活躍や自由だけを論じることが、男性排除の構造を生み出してないか?(ひいては男社会の女性排除と同質になっていないか?)」をババーンと押し出してくれたのがとてもよかった。男性を男性だからと括って攻撃するのはフェミニズムではないのだ…。

そしてラスト。自分は当初フェミニズムがテーマなら「バービーランドが男性を対等に扱うようになり、一方さて現実は?→これから変えていこうね」という結末になるのかな…と思っていたが、なんとバービーが「変化することを自ら望む」という形で〆となる。最初見た時は「ん??テーマズレしてないか??」と思ったが…
そこでこの映画のテーマが実はフェミニズムではないことに気づく。フェミニズムもまた手段だった…。
容易くは変わらない社会の中で、変化を受け入れ老いゆくことを「美しい」と定義するのは、すごーーく暖かい回答なんだよなあ。

(あと、キリスト教からの観点で書かれた感想が大変興味深かったので置いておく。)
https://note.com/ttmjunk/n/nb8b6e8080676
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