ナミモト

バービーのナミモトのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.8
私は小さい頃にバービーで遊んだことはありませんが、リカちゃんのような人形あそびが押しつけてくる、大きくなったらこうあるべき女性像や家族像…、カレンダー通りの休みの高収入そうなパパ、お料理上手なママ、ハンサムな彼氏がいて、戸建てに住んで、双子や三つ子のお世話をして、スタイルいいから可愛い洋服を何着もとっかえひっかえして…、何の疑いもなく、当時は受け入れていたことを思い返しながらみていました。
当時、遊びを通して刷り込まれていた女性や家族はこうあるべきだという価値観。そこから外れてしまう可能性の方が高いのに、夢を押し付けてくる暴力。
本作は、そのバービーが象徴させられたものを、実はケンの方にも辛さがあるよね、と両者交えて描いていることがとてもユーモラスで、楽しい作品。

そして、強度に女らしさ・男らしさを問いかけてくる世界観の中に、アランがいることが面白い。
アランだけが変わっとらん…けど、アランのような存在の人たしかにいる。自分からは何もアクション起こさないけれど、結果的に周りに巻き込まれて馴染んでしまう人。

レディ・バード、ストーリー・オブ・マイライフとは全く異なる、ぶっとんだバービーの世界観。異色ともみえます。でもしっかり面白い。

バービーもケンも、元はおもちゃであるがためか、とってもピュアなのが、笑えます。実際の社会の強度なメタファーでありコメディー。
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