あんじょーら

バービーのあんじょーらのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
2.8
グレタ・ガーウィグ監督    ワーナーブラザーズ   新宿ピカデリー


ライアン・ゴズリングが出演しているので、観に行きました。

日曜日の昼の回なんですが、8割入りくらいで、かなりの予算を突っ込んでいる作品ですし、ちょっと興行的に大丈夫か心配になりました・・・まだ公開3日目ですし・・・


お客は女性率高めですけれど、男性も、カップルで来ていない男性もチラホラ、ちょっと安心しました。


バービー人形という概念のファンタジー世界バービーランドで暮らす標準型(基本型だったかも・・・)バービー(マーゴット・ロビー)は、完璧で楽しい暮らしをしているのですが、そこはバービーとしての完璧さや楽しさで・・・というのが冒頭です。


バービー人形には触れた事が無いので、全然ワカラナイのですが、グレタ・ガーウィグが普通の映画にするつもりもないだろう、と思って望みましたが、確かに普通じゃないです。


これは、ケン(ライアン・ゴズリング)の物語でもあると思います。ケン、というのはバービーの彼氏なのかと思いきや、別に彼氏ポジションではなく、なんなら職業は『ビーチの人』です。


破壊力のあるパンチラインである『ビーチの人』というのは本当でして、要はあまり重要視されていないキャラクターのようです。


しかもバービーにもたくさんの種類があり、ケンにも、たくさんの種類があるのですが、これは結構な驚きです。


そもそもは、女児には人形で母親ごっこをするそうなのですが、その人形はほとんどの場合赤ん坊であり、成人女性では無かったところに出てきたのがバービーなのだそうです。そういう一連の歴史についても、本編で語られます。その語り口、そしてある種の映画リテラシーが求められる作品です。


でも、バービーという映画を観に行く人が、映画リテラシー高いのか?日本では特に気になりますね・・・


まず、親が与えたのか?それとも自発的に子供が赤ちゃんの人形を欲しがったのか?は重要な視点な気がします。親を真似る、というのであれば、男児も何かしら父親や母親の影響があっても良い気がしますけれど、かつて男児であった私には記憶がなく、周囲を見渡しても、記憶にないです。


だから女児も人形が与えられたから、とは言い切れないですし、これはデータが必要で、しかも年代間格差もあるやもしれません。なのでこれ以上何とも言えないのですが、何というか刷り込みの可能性ありますね・・・


でも、昭和の一時期(多分その前は共同作業の農業や1次産業であった頃は常に働いていた)だけ、専業主婦という特別な状態があり、且つ、女性が生きていく為に(働き場を無くされた)結婚しか生きていく手段が無かった為の戦略的な刷り込みの可能性もあるな、とは思いました。


上手いな、と思ったのは、バービーランドの存在です。


ここでは平和で安泰な世界が存在しうるわけですけれど、それが、その構成員の中では、非常に厳しい環境に置かれている人(ビーチの人、そのバディとか・・・)がいる、というのは本当にその通りでした。


あまりネタバレはしたくないのですが、ある程度のリテラシーがあれば大変面白く観られる映画です。


それと、マーゴット・ロビーは本当に面白い作品を選んでいますよね。しかも、見た目だけの話しでもなく、この映画も、グレタ・ガーウィグ監督のインタビューによると言い出したのはマーゴット・ロビーさんからのようなので、流石です。


マーゴット・ロビーも、ライアン・ゴズリングも、どちらも結構年齢が中年に近づきつつあるので、ちょっと見た目としてキツいな、とは思いました、人形の話しとしては、と言う意味で。でも、わざと、な気もします。多分メイクが本気出せば、もっと年齢を若く魅せる事はできたはず、それをあえてやらなかったのではないか?と思いました。


ピンクってずっと画面に映ってるんですけれど、目が痛くなりますね・・・


バービー人形で遊んだ方にはもっとリテラシー高く分かる部分もあるのでしょうけれど、今作は恐らく、そういう層だけを狙ってるわけではなく、概念とか、映画とか、役割についての話しです。


役割について、考えてみたい方に、オススメ致します。それと、安いライアン・ゴズリング、特にシェーン・ブラック監督作品「ナイスガイズ!」のライアン・ゴズリングが好きな方には是非のオススメ作品です。