ぶみ

バービーのぶみのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.0
「完璧」よりも大切なもの。

グレタ・ガーウィグ監督、共同脚本、マーゴット・ロビー主演によるコメディ・ファンタジー。
アメリカの玩具メーカーマテル社の着せ替え人形バービーが、人間の世界との違いに驚く姿を描く。
吹替版が多い中、字幕版で鑑賞。
主人公となるバービーをロビー、彼女を好きなケンをライアン・ゴズリングが演じているほか、各種バービーやケン役として、ケイト・マッキノン、アレクサンドラ・シップ、エマ・マッキー、シム・リウ、チュティ・ガトゥ等が登場しているのに加え、ヘレン・ミレンがナレーターと豪華メンバーが勢揃い。
物語は、全てが完璧な毎日のバービーランドで暮らすバービーの身体に異変が起こり、原因を探るため、人間の世界に行き、その先々で騒動を巻き起こすとともに、自身が住むバービーランドとは全く違う世界に驚愕する様が描かれるのだが、バービーと言えば、幼少の頃、女の子が遊ぶ人形はリカちゃんかバービーかと言うほどの知名度だったほどの老舗ブランドの一つ。
そんなバービーを、スラっとした身長に、ブロンドの髪、クッキリした目鼻立ちと、実写化するには、この人しかいないと思えるほどハマり役のロビーが好演。
序盤はバービーワールドの日常がコミカルに描かれ、中盤では、人間世界にバービーが行くことによるドタバタ劇が、そして終盤は、再度バービーワールドに戻るという展開となるのだが、そのピンクを基調とした世界観や、予告編で見られるようなコメディテイストから想像される軽妙な話かと思いきや、そこはそれ、『レディ・バード』や『ストーリー・オブ・マイライフ/わたしの若草物語』といった過去作品で、女性が突き当たる壁や、力強く生きていく様を軽やかに描き出したガーウィグ監督らしく、かなりメッセージ性が強い内容となっている。
また、監督のパートナーであるノア・バームバックが共同脚本でクレジットされていることからわかるように、多くの台詞を畳みかけるようなシーンが目立つのも、見どころの一つ。
前述のように、バービーの実写化というイメージと、そのコメディテイストとは裏腹に、メッセージ性の強さとのギャップを埋めるまでが大変ではあるものの、そこに気づけば、監督が伝えたいことは、男性、女性どちらにもかかわらず明白なものであり、バービーやケンが繰り広げるドタバタ劇の裏に秘められた思いを楽しむことができるとともに、ケンとしてクレジットされていたジョン・シナに気づけなかったことに悔しさが残る一作。

強迫観念は別売り。
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