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バービーのdogのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
4.5

このレビューはネタバレを含みます

見終わった後に色々サーチして、この映画の批評を読む。
なるほど、ジェンダー文脈やハイコンテクストな内容が含まれ、観た人のバックグランドで論評が分かれているのか。
そう思うとSNSを念頭に置いて用意周到に設計されたプロットになっているようにも見える。監督の熟練度が上がった証でしょう。

もののけ姫のことを思っていた。
元々アシタカが主人公だったが、鈴木敏夫がもののけ姫というタイトルにして、それが観る人の印象と映画の興行に影響を与えたというのは有名な話。

この映画の主役がケンだとしたらどうだろうか。
愚かもののケンはリアルワールドを見て自我に目覚めて、マッチョな世界をバービーワールドに持ち込んだがそれが愚かな行いだと気づく。
気づくものの変わらず愚かなケン。
嫉妬や自己憐憫から抜け出せることは無いだろう。
古い男性像から離脱できなかったケン。
人間になったバービーとは異なり人形として生きるというか選択肢そのものは与えられない。
知的な監督のことだから、ケンについても周到に設計を用意していることだろう。
この辺はもう一度観ないと感想まで行きつけないが、ゴッドファーザーと同じように10年後に観たら社会環境の変化が浮き彫りになるのは間違いない。

そんな地平とは全く別のところでこの映画が全ての人生を肯定しようとしていること。寄り添おうとしていること。それをバービーの世界観でやってのけたこと。優しく響くビリーアイリッシュのWhat Was I Made For?の歌の調べはSNS的ないざこざと切り離して大切に保管しておきたい。

【一晩たって】
ひょっとしたらフェミニズムを笑うIQ140のブラックユーモア映画をマーゴット・ロビーとライアン・ゴスリングとビリー・アイリッシュが神にしたってことかも。
まあ楽しくてかわいいですよね。シンプルに。
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