あつし

バービーのあつしのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.3
再鑑賞 2023/08/13 新宿バルト9 DolbyCinema

グレタ・ガーウィグ監督の「ストーリー・オブ・マイライフ」が大好きなので、超期待していた本作。
多少なりとも社会派な要素も入れてくるだろうというのは予想できてたけど、ここまで取り込んでくるとは。

鑑賞前に、"フェミニズム映画"だという声をちらほら目にしたので、若干警戒したが、そんなジャンルで一括りにするような映画じゃ全然ないじゃん!笑

まず、単純にブラックコメディ映画として超面白かった!
そのうえで、コメディ要素に対して、社会的メッセージ性のバランスが絶妙だったと思う。

加えて、舞台となるバービーランドがピンク一色で、女の子が夢見るような世界観だから、それだけでも楽しめること間違いなし。

バービーランドが現実世界とは逆転の構造(かなり極端には描いていたが)という発想が面白くて、現実世界で暮らす我々にとってはそのギャップと、問題性が捉えやすくなる世界観で凄い。

さらに、「トイ・ストーリー」や「LEGO(R)ムービー」といった要素も取り入れながら、新たなおもちゃ映画としての立ち位置を確立していた思う。

バービー人形の歴史に詳しかったら、もっと笑えたんだろうなっていうネタも多かった。

冒頭のシーンは、予告でもあったが「2001年宇宙の旅」のパロディで開幕から笑える。

他にも、ヒール(バービーランド)かサンダル(現実世界)の選択肢を強いるくだりは、マトリックスだったり、パロディが豊富。

ライアン・ゴズリングが演じだケンが素晴らしすぎて、めちゃくちゃ感情移入してしまった。

男の象徴で"馬"をやたら持ち上げるのが面白すぎるし、"道場・カサ・ハウス"でずっと流れてる馬が走る映像とか、馬の主張が激しすぎてツボに入った。

あと、男の象徴の人間代表が、シルヴェスター・スタローンなの笑う。

シム・リウのケンも良かったし、ちゃっかりジョン・シナが出てきたのもウケたな〜笑

男尊女卑を皮肉ったシーンがホントに腹抱えるほど面白くて、爆笑してしまった。
ギターを弾くところとか、恋愛リアリティーショーあるあるだし 笑

特に、ゴッドファーザーを語りたがる男の習性をネタにするシーンがめちゃくちゃ面白くて、正直好きなものをやたら語って、知識を広めたがる習性は、自分にも当てはまりすぎて、気をつけなきゃと思った次第 笑

マテル社の社長のキャラもコメディリリーフとして、めっちゃ良かった 笑

娘役の女の子も可愛かったな〜。

ケンはケンのままでいい、ありのままの自分、そして、ありのまま他人を受け入れていこうという、多様性を尊重した決着も個人的には好きだった。

最終的に元のバービーランドに戻りました、で終わっていたら腹落ちしなかったけど、現実世界の実情に照らし合わせて、格差をなくしていく、理想的な社会に近づいているはず、という落としどころも良かった。

バービーが人間になるという選択をすることで、セルライトや憂鬱な気分になるといった、人間にとっての負の側面も受け入れたと思うと感慨深いし、バービーが現実世界に来た時にベンチの隣に座っていたお婆さんを"美しい"と言い表したあのシーンが活きてくるのも素晴らしい。

考えれば考えるほど深みが増していくし、何回観ても解釈が広がっていくような気がする不思議な作品。

ひとつ苦言を呈するなら、いくらなんでも"パパ活"というワードを安易に使用するのは下品すぎるのでは。
翻訳前の、もとのセリフはわからんが、エンタメとして消費していい言葉ではないでしょう。

劇場にピンクコーデで行くという、日本の映画業界ではあまりない、面白い流行り方してていいな〜とも思った。

※余談
"Barbenheimer"の件で、映画公開前に低スコア付けて、観ないアピールしてる輩がレビュー荒らしてたの、マジでキショい。
作品に罪はないし、テメェが観ないのは勝手だが、わざわざここで低スコア付けて、本来の用途で利用しているユーザーに迷惑かけてんの低レベルすぎるから、他所でやれや。
あつし

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