Schiele1918

バービーのSchiele1918のネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
4.2

このレビューはネタバレを含みます

非常に笑える。
冒頭からシュールなギャグ、アイロニーに満ちていてピンク色と同じくらい皮肉な笑いが塗りたくられた映画。
バービーにもケンにも、嘲りと憐れみで涙が出るほど笑える。笑えるほどに、涙が溢れる。虚しく、絶望感がある。現実の世界に打ちのめされるバービーと鼓舞され感化されるケンのエピソードは象徴的で、溜め息と笑いが絶えない。
SF映画として、異なる世界観の中から我々を見返す異境の視点で作られた映画としても構成が巧みであり、猿の代わりに玩具を挿入した猿の惑星のような作品にも思える。
どこまでも異常な世界とノーマルという幻想の中から自ら這い出て産まれければいけない、クリエイターの元を脱して産まれ直して生きていくという人間そのものの命題を堂々と代表して生きていくエンディングは確かに力強く、瑞瑞しい。

返す返すこの「わからない」世界にどう向き合うのか?ということには問を投げかけることしかない。わからないまま生きて行くしかないのは男も女も変わらないけど、女には理想があり、男にはもはや形式しかない。
「あの」ケンはこれからどうするのか?と思わされた。
Schiele1918

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