「女児向けドール『バービー』の実写映画化」ではなく、大衆の悩みや現実世界の課題、特に米国で白熱するフェミニズムやポリティカルコレクトネスを『バービー』が抱える社会的問題というフィルターを一枚も二枚も三枚も四枚も通して描く傑作であり、良い意味で珍作。
バービーのライセンスを持つマテル社がマーゴット・ロビー演じる主人公バービーの蔑称に「待った」をかけたという逸話も納得できるし、「どうしてもその表現を使いたい」と押し通したマーゴ含めた製作陣の強い気持ちも理解できる。
日本の一般層女性にターゲットを絞った予告編では、本国版より“✨キラキラ✨”具合が際立つような編集、ナレーションやテロップが追加されていたが、あの予告を真に受けて鑑賞した方々はアバンからエンディングまでさぞかし驚いたであろう。
逆に本国版のティザー予告編から本作を楽しみにしていたような方々は、ブラックジョークと哲学的な思想・演出に溢れた本作の完成版に大きく頷くはずだ。
