旅するランナー

バービーの旅するランナーのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
4.0
【2023年バービーランドの旅】

女の子向けのキラキラ映えるファンタジーと思ってました。
ところが、さすがグレタ・ガーウィグ。
人形(人間)存在の深淵にまで迫る、深~い哲学的作品になってます。

冒頭のまるっきり「2001年宇宙の旅」の猿人・モノリスパロディから始まり、
人間世界への旅立ち、
サポート役ケンによる自我の目覚めと反乱、
(KENという名前も、HAL・IBMを思わせる)
創造主との遭遇と進化、
我々は何者で何のために生きどこに行こうとしているのかという考察、
というキューブリックによる思索の後を辿るかのような展開を見せます。

もちろん、マーゴット・ロビーの異常なほどの美しさと、
ライアン・ゴズリングによる常軌を逸した、ニコラス・ケイジばりのコメディアンぶり
を楽しめる娯楽作にもなっています。

そうなってくると、残念なのがラストの締め方。
バービーとしての新たな道への選択の過程を、ビリー・アイリッシュの曲「What Was I Made For?」に頼り過ぎています。
そこは、もっと哲学的・宗教的に、バービーチャイルドでも登場させていれば、とんでもない名作に昇華していたんではないでしょうか。