こなつ

バービーのこなつのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
3.8
私の子供時代、バービー人形やりかちゃん人形はどの家にもあったが、私自身はあまり人形遊びには興味がなかった。この映画を観に行こうと思わせたのは、やはりマーコット・ロビーが製作・主演、グレタ・ガーウィグが監督という話題作品であったというのが大きい。全米で今年最大のオープニング興行収入を記録し、世界的にも大ヒットしている。

予告編から全面ピンクに彩られた「バービーランド」の世界で、グレタ・ガーウィグが他の作品で貫いている女性の自立をフェミニズムSFとしてどのように描いているのか興味があった。

よくこれだけのセットを作りこんだと驚く艶やかなピンクピンクのバービーランドがそこにあった。

バービーランドで暮らす住民は、全員「バービー」であり「ケン」と呼ばれている。オシャレ好きな人気者のバービーは、ピュアなボーイフレンドのケンとハッピーな日々を過ごしているが、やっていることは毎日同じ。近所のバービーに挨拶し、バービーらしく楽しい日常を過ごす。ところがある日彼女の身体に異変が起こり、、、

「バービーランド」から「リアル・ワールド」に行ったバービーとケン、女性優位のバービーランドとは対照的に、バービーを作ったマテル社のCEOが全員男性だったり、家父長制の現実社会を知った無垢なケンがすっかり取り憑かれていく姿が可笑しい。コミカルで愛されキャラのケンをライアン・ゴズリングがユーモラスたっぷりに演じていて、歌やダンスのパフォーマンスも楽しめた。

バービーの生みの親、ルース・ハンドラーの亡霊まで登場。「女の子だって何にでもなれる」その言葉でバービーは完璧で快適なバービーランドを捨て、老いも痛みもある人間社会を選んだのか、、、

グレタ・ガーウィグは一貫して女性解放、女性の自立を描くという意味ではブレていない。公開前に騒動はあってどうなることかと案じていたが、ちょっと不思議な新しい世界の映像の中でグレタ・ガーウィグの強い信念を感じることが出来た。
こなつ

こなつ