YasujiOshiba

バービーのYasujiOshibaのレビュー・感想・評価

バービー(2023年製作の映画)
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新宿ピカデリー。23-138。ゆみさんと(^^)。

男にはわからないことがあると認めるための映画。

ルース・ハンドラー(1916 - 2002)が娘のバーバラの遊びから着想したバービーの新しさを称揚する映画。その意味で冒頭のキューブリックの引用にはちょっと感動。「元祖女性は太陽だった」くらいのインパクトといえば大げさか。

ノア・バームバック(1969-)とグレタ・ガーヴィグ(1985-)の対話のような脚本を、来たるべきパートナーシップの指針として、ワイワイ楽しみながら体に浸透させる映画。

大人になっても子どものころのような遊び心を持ちながら、大人として振るまう母グロリア(グロリア:アメリカ・フェレーラ)が、思いのたけをぶちまけるとき、それが魔法のような力を持つという寓話に、うなずける人とわからない人のギャップ。

結局のところ、わからない奴を、わからざるをえない状況に置くという、スイッチングの寓話なのだけれど、落とし所があそこ。もちろんそれは、あるべきものがない状態から、あるべきものがある状態への移行を示す。すなわちぼくらは神のように不死ではなく、いつのまにか老い、いつかは死ぬ存在だということを再認識しましょうね、という目配せ。

あとはキューブリックをはじめとして、コッポラ、スナイダー、ウォシャウスキーを上げたり下げたりするこのメタメタ映画は、楽しんだらマッチョにあこがれるケンになっちゃうし、楽しめなかったら完璧なバービー(?)になるという二者択一を、どうやって超えてゆくかを目指しているんだよなと思って、ぼくとしては好感触。グレタ・ガーヴィングの作品は結構どれも好きなんだよね。
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