たにたに

バービーのたにたにのネタバレレビュー・内容・結末

バービー(2023年製作の映画)
3.9

このレビューはネタバレを含みます

【ツルペタ】2023年72本目

2001年宇宙の旅のパロディから開幕。
見事な8頭身バービーの登場が女の子たちの憧れとなる時代が到来した。

マーゴットの究極かわいいバービーの世界観の説明パートはお見事で、多様性あふれるバービーたちの存在と何者でもないケンの存在がキラキラポップに描かれ観客を惹きつける。

そんな折、ふと「死」について考えてしまったバービーは身体への異変を感じ、自分の持ち主の元に会うために人間界へと行くことに。ついてきたケンが、現実社会での男女格差に気付き、マッチョイズムに陶酔することでバービーランドが崩壊していくという話。

バービーの販売元マテル社が、協賛してるにも関わらず自社を皮肉るという異常なことをやってますが、キャンセルカルチャーが蔓延する中で、誰に言われる前に自らの汚点をイジるという一枚上手なことをしてきた。

フェミニズム映画と揶揄されながらも、これはよくできた作品で、終盤のケンに対するバービーの発言には考えるさせられるものがある。女性が権利を獲得してきた歴史的背景には、偉大な女性達がいたことは忘れてはならない。男性は無意識のうちに自らの社会的地位にあぐらをかいている。獲得できていないことを社会や他者のせいにすることなく、何かを得たいなら男(おまえ)も頑張れよ、ということだ。

返す言葉もない。
おもちゃから発されるこの現実を突きつける言葉のギャップに、後半は自分を見つめ直すきっかけになっていた。
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